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インタビュー

最初からアイデアを整理し過ぎると、
エッジの効いたモノなんか作れない。

わずか中学3年生で起業し、いまや押しも押されぬ現役女子高生社長に。株式会社AMF代表の椎木里佳さんの信念は「同世代にとっての"かわいい"を社会に発信し、日本の10代を元気にしたい」。学校と社長業を両立しながら、大人顔負けの多忙な毎日を送る椎木さんに、ティーンエイジャーならではの情報収集&整理術を伺った。
PHOTO:沼田学 TEXT:宗像幸彦

大人に混ざってプランニングやプレゼンを特訓。
学んだのは「学校では教えてくれないこと」

「ノートは毎日使ってますね。やっぱり一番使うのは、学校の授業。最近だと黒板とか友達が書いたノートをスマホで撮ってラインで共有しちゃう子も多 いけど、授業点(内申点)が下がっちゃうんで、さすがに自分で書いてます。じゃないとなかなか覚えないじゃないですか。ただ、テストとか仕事で忙しい時期 が終わったらコレやりたい!っていうウィッシュリストをときどきノートの端っこに無意識に書いちゃってるんですよ。すっごい甘ったるいハニートースト食べ たい!とか、あとはフルチャン整体行く!とか(笑)。あ、フルチャンっていうのは100%、絶対っていう意味です。ワンチャンが15%で、半チャンが 50%で…」

出てくる言葉の端々に、最新情報や流行のヒントが隠されているかのよう。それもそのはず。現役女子高生であるだけでなく、同世代の流行をキャッチしたり、 自身のセンスを形にしながら社会へ発信していくのが椎木里佳さんの仕事だ。起業のきっかけは15歳のとき。SNSで学校の男子から言われのない中傷を書かれた。「見返してやろう」との思いもあったが、何より刺激のなかった生活に焦りも感じていた。そこで一念発起して起業家の父から15万円を借り、中学を卒業する1カ月前のバレンタインデーに自分の会社を創業。社名は「常に自分がこうありたい」という願望を込めて、感謝 (Appreciation)謙虚(Modesty)全力(Full-power)の頭文字を取って「AMF」と名付けた。

「最初にいただいた仕事は、サイバーエージェントさんが運営する女子中高生向け情報サイト『JCJK総研』の編集長でした。初めて渋谷のオフィスへ足を踏 み入れたときの衝撃は今でも覚えますね。大人たちが死にものぐるいパソコンで叩いたり、プレゼンの予行練習してて、ヤベー、私すごいところに来ちゃっ たー!っていうか。サイバーさんって、アイデア出しからブラッシュアップ、プレゼンテーションまでを5分でやっちゃうような訓練をよくしていて、大人に混ざって見よう見まねで特訓しました。今振り返っても素晴らしい機会を頂けたと思っています。スマホアプリ『JK目覚まし』の開発にも携わることができたし、学校じゃ絶対教えてくれいことをいっぱい学べたから」

情報収集術は「ひたすら遊ぶこと」。
大阪のマイルドヤンキーとも意見交換!

現在、自身の会社AMFでは、全国の女子中高生を集めたネットワーク「JCJK調査隊」を軸にしながら、企業のマーケティングサポートや商品プロ デュース、PRコンサルティングを行っている。たとえば、大手お菓子メーカーでチョコレートのPR方法を求められて、渋谷のファッションビル前で「感謝の 気持ちをデコる」イベントを企画したり、カラオケチェーン店の部屋や特別メニューを考案したり、人気LINEスタンプ「パン田一郎」のコンサルティングに 関わったり。最近手がけたAndroidの着せ替えアプリ「buzHOME」のプロデュースはまっさらの状態からスタートし、同世代の女の子たちとミー ティングを重ねながら8カ月ほどかけてやっとリリースにこぎつけた。そんな忙しいのに、いったいどこで情報収集しているの?と聞いてみると、「とにかく遊 ぶこと」という答えが満面の笑みとともに返ってきた。

「毎日、朝からだいたい15時くらいまで学校行って、夕方から夜まで仕事して、土日も打合せとか取材が多いんですけど、とにかく友達とは遊ぶように しています。今日もこれから文化祭の打ち上げなんですよ。やっぱり友達からいろんな話を聞いて、おもしろい場所があったら自分も一緒に体感したりとか。そのときはどうでもいいやーって思える情報が後から活きたりすることも多いので。あとは、JCJK調査隊とのコミュニケーションもすごく大事にしています。 北海道から福岡まで全国に約80人近くいる女子中高生のネットワークなんですけど、みんな全然違う環境だから全部が新鮮。大阪のマイルドヤンキーっぽい子 とLINEで意見を交換してても、フツーにキレられちゃったりしますからね。それヘンやないですか?って。ただ、80人っていう数字が強みなのかもなって思っていて。大企業的にはマーケティングのサンプル数としては少ないけど、その分、リアルでちょっと変わっておもしろい意見も拾えたりするので」

思いつくまま書いて、線で結ぶ。
まずはすべて可視化することが大事!

日々、情報収集に勤しみながらも「最終的には自分自身の中から答えを探します」と言う椎木さん。普段、手帳には仕事、勉強、遊びなどのカテゴリー別にTO DOリストを設け、仕事用のノートには常にアイデアをしたためておくことも忘れない。

「最初に浮かんだアイデアはとにかく思いつくままに書きまくるのが自分のやり方。たとえば、ある企業と仕事をしたいなぁと思ったら自分の強みと弱み、相手企業の強みと弱みを片っ端から書いていく。相手企業の『お堅い』という弱みと、自分の強みである『女子高生』を線で結んで、ここはサポートできる可能性あるかも?ってメモを加えたり。気がつくと、そういうキーワードとか線でページが埋め尽くされて自分でもワケ分かんなくちゃうんですけど(笑)、めちゃくちゃでもいいから全部を可視化するのが大事。最初からきれいに自分の中で整理して書いちゃうと、こじんまりとまとまっちゃって、エッジを効かせたモノが生まれにくいんです。その点、このアイデアノート・エディットは、横書きなので、どれだけ書きこんでも俯瞰して見えやすいような気がします。本気で収拾つかないくらいのレベルになったら、もっとシャープなアイデアが浮かんでくるかも」

痛感したJKの絶大な影響力。
JDになっても「かわいい」を発信したい

さらに、アイデアノート・エディットに付いているふせんの使い方についても、現役女子高生ならではの使い方を提案してもらった。

アイデアノート・エディットは、ふせんがノート部分と一体化しているところが便利ですよね。
ウチらはテスト勉強のとき教科書で難しい場所があったら、勉強用のノートに<ここわからない。教えて!>とか書いたふせんを貼りつけて交換したり、あと ノート貸してくれた子には<ありがとー>ってメッセージ書いて貼ったりとかしてるんですけど、思いついたアイデアを書くだけじゃなく、メッセージ的に使っ てもいいかもしれませんね。ふせんでアイデアを継ぎ足したり、共有したりするのもいいけど、もっと気軽に使ってもいいんじゃないかなぁって」

デジタルとアナログを本能的に使い分けているとでもいうべきか。そんな椎木さんの夢はズバリ「レジェンドになること」。具体的には、東京証券取引所の最年少上場記録である「25歳1カ月」を破ることを当面の目標にしている。

「この仕事を続けてみて痛感したのが、女子中高生が世に与える影響力の大きさ。学校の内外ではもちろん、ウチらの親世代がバブル経済を経験して流行にも敏感だから家族レベルでもすごく情報が伝わるのが早いんです。だからJD(女子大生)になっても、ティーンエイジャーに元気を与えて、同世代の情報を社会に向けて発信したいというコンセプトを変える気はないですね」

Profile

椎木里佳 Shiiki Rika
株式会社AMF代表

1997年、東京都生まれ。中学3年生のときに会社を立ち上げ、現在は高校に通いながら、主に企業のマーケティングサポートや商品プロデュース、アプリ開発、イベントの企画運営などを行う。また、神奈川県知事公認「神奈川いろいろ知り大使」を務めている。