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インタビュー

文具好きが高じて
革小物や製本の世界に

「経年美を愉しめる良質な革や紙にこだわって、末永く付き合える人生の相棒を一針一針、コツコツと」をモットーに、クラフト作家として活動する「【&B】(アンド・ビー)」の本田あきらさん。モノづくり好きを支援し、目黒にある会員制のシェア工房「Makers' Base(メーカーズベース)」を基地に作品制作やワークショップの講師をしています。2016年11月13日(日)に開催予定の「手縫いのEDiT本革手帳カバー」のワークショップでも本田さんが講師となります。数年来のEDiT 1日1ページ手帳 B7サイズの愛用者でもある本田さんにお話をお伺いしました。
PHOTO : 新井康介

「& B」のBは、Bungu、Box、Bookbinding

「“&B”という屋号にしたのは、Bungu(文具)、Box(道具箱)、Bookbinding(手製本)と自分が制作しているもの、好きなものの頭文字から取りました。それに娘の名前のイニシャルもBなんです(笑)また“&”には、“〜と”つまりwithの意味があります」と本田さんは名前の由来を語ります。小学生の頃から文房具屋さんで何時間も過ごし、そこで売られているペンを片っ端から試し書きしているような文具好きだったそう。

「文具にハマり過ぎるとお金を使い過ぎるので、学生時代はむしろできるだけ文具から遠ざかるようにしていました。ところが、子どもの保育園の連絡帳に綴る自分の字の下手さにひどくがっかりして。でも万年筆ならそれも味に見えると気づき、そこから万年筆、文具の世界にまた入り込んでいきました」。そして本田さんは、愛用の万年筆を入れるペンケースをつくりたい、ということから革のバッグをつくる教室に通うことに。

次は手帳カバーがつくりたい、万年筆が透けない紙で、革装カバーのノートをつくりたい……と、どんどんつくりたいものが広がり、手製本工房やメーカーズベースに通い詰めるうち、自身が講師になるほどになりました。

写真 : 30〜40分のワークショップ用のロールペンケースは、シンプルながらすてきな佇まい。立つこともできる便利モノ

小さなバッグにぴったりのEDiT手帳B7サイズ

そんな文具好きの本田さんは、2012年の発売当初から長年にわたるEDiT 1日1ページ手帳B7サイズの愛用者でもあります。「当時、バイクによく乗っていて、貴重品を入れて小さなバッグを身につけて走っていたんです。B7サイズはまさにそのバッグにぴったりで。それからはもう、これなしではいられないほど。色は気分で毎年変更しています。」

マンスリーにスケジュールを、デイリーページにそのTO DOを書きこむのが本田さん流。「あとB7だとサイズが小さいので、ちまちまいっぱい書いてあると、人が覗きこんでもあまり何を書いているかよく分からずにすむ、という利点もありますね(笑)」

写真左:オレンジはメーカーズベースに行く日、赤は仕事の締切り、紫は子どもの剣道教室の日など、シールを色分けて使うことで、ひと目で予定がわかるようになっている

「実は以前、他社の手帳を使っていたとき、使い終わる頃の11月になって、綴じ糸がほつれてきて壊れてしまったんです。それを修理したいと工房に行ったのが、手製本をはじめるきっかけにはなったのですが、このEDiTは何年使ってもそんなことは起きていません」

つくる人の味が出る、本革手帳カバーのワークショップ

2016年11月13日(日)、本田さんのアトリエともいえるメーカーズベースで、EDiT 1日1ページ手帳の本革カバーをつくるワークショップがおこなわれます。
「今回のワークショップでは、イタリア製のエイジングしやすいレザーを使って、手縫いでカバーをつくります。伝統的なバケッタ製法をよみがえらせて、じっくり手間ひまをかけてつくられた高級レザーで、使い込むと味が出てくるベジタブルタンニングのいい革なので、手縫いでちょっと失敗しても味が出ていいんですよ。それにいい革って、ギュッギュッと音が鳴るんです。手帳の開閉をするときにこの音も楽しんでもらえるといいですね」。

本田さんは、手帳カバーのオーダーも受けていますが、こだわりのポイントはお客さんそれぞれ本当に違う、と言います。「今回のカバーは、ベースを3色、ポケットに5色、手縫い用の糸を8色と、バリエーションのある素材を用意しています。また、好きなところに穴を空けたり、カード入れのスリットを入れたりもできるので、ぜひ自分好みのカバーづくりを楽しんでほしいですね」。

写真:本田さんが制作したワークショップ用のカバーサンプルと革のカラーバリエーション。穴部分にはペン、定規やハサミなど、手帳と使う小物を入れられる

「触っているうちに脂が染みてツヤツヤになるし、たとえば黄色の革は日に当たるとキャメル色に変化していくので、2〜3ヶ月で自分の味が出てくると思います。自分でつくれば壊れてしまっても直しながら使えるので、できるだけ長く愛用してほしいですね。私もこれを機に、B6サイズの1日1ページ手帳もぜひ使ってみたいと思っています」と笑顔で語る本田さんでした。

写真:革職人の師匠に道具の仕立てから教わった本田さん愛用の道具。握り鋏は1783年創業の老舗刃物店、東京・人形町の「うぶけや」のもの

写真:手製本工房の製本コンクールで受賞した「年輪ノート」。1折32ページ×12ヶ月分をロングステッチで綴じあげた革装手製本。手仕事でつくられたクラフト作品の購入ができるマーケットサイト「iichi(いいち)」にて受注生産中

■「&Bといっしょにつくる手縫いの本革手帳カバー」のワークショップは申し込みを締め切りました。ご了承ください。

Profile

【&B】アンド・ビー 
本田あきら Akira Honda

1974年神奈川県生まれ。手づくり文具の親子ユニット「&B」(アンド・ビー)として、サブ講師のBちゃん(小5)とともに革の手縫いワークショップを中心に活動。主なフィールドは、みちくさ市ブングテンやものづくり施設Makers’Baseなど。伊勢丹新宿本店へのグループ出展に加え、文様作家Apsuとのコラボ革製品を原宿ビームスにて販売。手製本と絡めた革小物の個人オーダーや、ジュエリーショップからの注文も受けている。
http://www.and-bungu.com
https://www.facebook.com/and.b.honda