手帳は私を動かすメモ!書いて、動いて、考えて

手帳は私を動かすメモ!
書いて、動いて、考えて

寺本衣里加さん / アーティストマネージャー&コンサルタント

パーソナルマネージャーとして、フリーランスのアーティストを中心にマネジメント業務をしている寺本衣里加さん。

現在、東京と大阪で"デュアルライフ"を送る寺本さんが、手放さずにいるのが手帳です。

しかし「予定管理や日記はデジタル」とも話す彼女が、なぜ、どういう目的でアナログ手帳を毎年購入するのか? 気になるEDiTの週間ノート手帳の使い方と、手帳を大事にする理由をお伺いしました。

TEXT : ごとうあいこ PHOTO : 吉崎貴幸

会社員から一転
フリーランスへ

現在、フリーランスでマネジメント業務をしている寺本さんは、新卒で広告代理店に入社して以来、営業から制作、メディアバイイングなどにあたってきました。会社員から一転、フリーランスとして働くきっかけとなったのが、結婚と同時に住まいを大阪へ移したこと。

「ずっと東京で仕事をしてきたのですが、2012年に大阪へ移りました。しばらく会社員を続けた後に退職し、そのときに旧知の仲だったヘア&メイクアップアーティストの長井かおりさんが『仕事のマネジメントをしてくれないか』と声をかけてくださったんです」

手帳を手に答える寺本衣里加さん

仕事でメディア対応は長年やってきたけれど、マネジメントの経験はなかった寺本さん。ボランティア活動を通じて知り合った長井さんが、寺本さんの働きぶりを目にして『未経験でもいい。お願いしたい』ということから二人三脚がスタートします。

「最初はメールの返信や電話応対をしながら、“長井のことは寺本に”という対外的な流れをつくり、そこから徐々に本格的なマネジメントに入りました。私の中でも少しずつ、『もっと私にできることがあるんではないか』と考えるようになりましたね」

新たな挑戦に手ごたえ
書籍が飛躍のきっかけに

自分の仕事に集中したいプロフェッショナルにとって、“自分以外の人でもできることを引き受けてくれる人”や、“わかりやすく交通整理してくれる人”の存在は、自身のパフォーマンスを上げるためにも大きな助けになります。

しかし寺本さんは、「頼まれたことだけをやっているのでは、長井さんのためにもならない。人が増えたからこそ、2馬力、3馬力にしなくては」と自分の役割を考えながら焦りも感じていたそう。そんなタイミングで2人の元にメイク本の企画が舞い込みました。

長井かおりさんのメイクモデルをする寺本衣里加さん

メイクショーやイベントなどの仕事にも同行。ときにはメイクモデルをすることも

「多くの人へのヘアメイクやメイクレッスンを通じて、どんな人にも似合うメイクメソッドを確立していたので、長井さんの本の出版はとてもうれしいできごとでした。本の制作ならば、私も前職でやっていた広告や冊子、雑誌などの制作から得ていた経験も活かせます」

そうすることで「長井さんはヘアメイクと著者としての役目に専念できると思った」という寺本さん。また、日々いっしょに仕事をしている寺本さんだからこそ、長井さんが伝えたい細かなニュアンスまでしっかり言葉に落とし込まれているのかなどを、著者と読者、両方の目線で見ることに注力できるのです。

「そこからようやく、自分の役目をしっかり感じられるようになりましたね」

『〜周囲がざわつく自分になる〜 必要なのはコスメではなくテクニック』、『世界一わかりやすいメイクの教科書』の書影

: 寺本さんと長井かおりさんのコラボレーションをステップアップさせた〜周囲がざわつく自分になる〜 必要なのはコスメではなくテクニック』(ダイヤモンド社)右:最新刊『世界一わかりやすいメイクの教科書』(講談社)

寺本さんが長井さんのアシストをしてつくった『〜周囲がざわつく自分になる〜 必要なのはコスメではなくテクニック』(ダイヤモンド社)は、“ヘア&メイクアップアーティスト・長井かおり”を世間に強く印象づける1冊となりました。共同作業を経て、「ようやく2馬力を実感。自分の役目を感じ始めた」と手ごたえを語る寺本さん。その後も続々と本を出版、ヒットを連発します。活動の幅もどんどん広がっていきました。

デジタルだけではダメ
手放せない手帳

寺本さんは、担当アーティストのスケジュールをすべてスマホアプリで管理・シェアし、1日の動きを把握。一方で、アナログの手帳も「手放せないツール」といいます。

「手帳は主に自分の仕事の実務をメモするのに使っています。EDiTの週間ノートは、上部が3段になっているので、一番上に私の予定を書き、2段目、3段目は担当アーティストに関連した“TO DO”ですね。どこに電話するとか、メール返信、企画の確認など、私が手を動かして行う作業はすべて手帳に落とし込んでいきます」

寺本衣里加さんの週間ノート手帳

「メモ書きが多い」という寺本さんの手帳。巻末のノートページには、打ち合わせや会議の内容を細かく書くだけでなく、アイデアを書き出したり、思考や情報の洗い出し・整理といったことも記入し、一元管理しているそうです。

「すべてを1カ所にまとめたいんですよね。手帳に書けば可視化されるし、パラパラめくれば思い出す。書き方などのルールもないし、ペンの色もバラバラです。ただ、日付がわからなくても、色で思い出せるんですよ。『あれはオレンジ色のペンで書いたからこの辺かな』とか」

さらに、寺本さんは「EDiTの紙質は本当に最高だと思います!」と続けます。

「裏写りせず、それでいて薄くて手触りがよい紙というのも、紙フェチとしてはたまらないですね。書くペンを選ばない紙って、手帳にとっては大事なことだと思っているので、シャープペンシルでも、万年筆でも、0.38mmのボールペンで書いてもストレスがないのはさすが! の一言です」

10月に翌年の目標設定
年間プランニングページ

巻頭の“年間プランニングページ”を書くのも好きだという寺本さん。会社員時代は、毎年10月に目標管理シートを書いていたことを「面倒ながらも、あれはよかった」と振り返ります。そこから毎年10月に翌年の目標を書くことが習慣に。

「2020年は、 “考えすぎない”というのがテーマです。“自分でアクションを起こす”より、“降ってくるもの”をどうキャッチするかというほうに重点を置くイメージですね」

これまでは、「どう人の役に立てるか?」、「どうしたら仕事を失わないか?」だけを考えていて苦しかった時期もあったそうですが、最近は心境にも変化が。

「自分のスタイルができてきたのと、仕事面でも新たな局面を迎えたことで“これでいい”という確信が持てたからかもしれませんね。とはいえまだまだ頑張らなくてはいけないと思うので、降ってきたものは、“私をさらに成長させるものとして受け止めよう”という気持ちです」

寺本衣里加さんの年間プランニングページ

年間プランニングページにしっかり書き込む一方で、レビューページは「あえて書かない」のが寺本さん流。理由は、10月に新しい手帳に移行し、そちらに「目標」を書いてしまうから。

「年間を通じて、何度も年間プランニングページは見ています。そこで目標に近づいているかを確認、追記することもありますが、実は折々で巻末のノートページにレビューはしているんですよ(笑)。中間期には、反省点や思考整理なども書き込みながら、見返しもしていますが、新しい手帳に翌年の目標を書き込んだ時点で、切り替えちゃうんですよね」

2拠点生活で
視野が広がる

現在、大阪に住んでいる寺本さん。担当アーティストの拠点は関東なので物理的な距離があり、「マネージャーなのにいいのかな」という葛藤があったそうですが、いまは迷いも吹っ切れ、「よかったこともある」といいます。

「離れていてもチャットアプリや電話などでこまめに連絡を取り合い、会えるときは必ず顔を見て話をします。お互いの生活のリズムを理解しているので、すぐに返事が返せない状況を察して動けるんです。公私が切り分けられないようでいて、OFFモードに入る時間帯があったりもする。それでいいんだと、お互いそういういう感じですね(笑)」

最近は、化粧品メーカーや出版社などの打ち合わせにオンラインで出席することも増えているようで、「働き方のひとつとして認めていただけるのはありがたい」と話します。

「離れていても、インターネット環境があればクライアントとの打ち合わせに参加できるし、多くの人が受け入れ、理解を示してくださるのでありがたいですね。その分、仕事で力を発揮し、成果を出そうという思いも湧きます」

話をする寺本衣里加さん

また「東京を離れて視点も変わった」という寺本さん。特にメディアの発信は、東京に一極集中していることが多いと感じるそうです。

「ファッションや最新の流行は、地方ではどのように受け取られているのか。たとえば、欲しくても手に入れにくいなど、都心との温度差があります。それを冷静に見て判断する目を私自身が持てた。私もアーティストも東京にいたら、視点も同じだったと思います。違う視点があると視野が広がるし、より多くの人の気持ちになれて、多角的な考えができるようになったと感じています」

書いて熟考
手帳は何度も開く

最近は、担当アーティストからだけでなく、副業をしていたり、将来的に起業を考える会社員からも相談されることが増えてきたという寺本さん。それを受けて、いろいろなキャリアプランやライフステージを踏まえつつ、相談内容に伴うアイデアを自身の手帳に書いているそう。どんな相手であっても、対話を重ねて思いを共有する。それが寺本さんのスタイルです。

「コミュニケーションする中で、何を求めているのか、困っていることは何か、私はそれに対してどうしたらベストなのかを共に考え、いっしょに悩みます。私が彼女たちの代わりに決断することはないですが、より深く理解をし、多くの対話をすることで一緒に迷わないようにしています」

力強くそう話す寺本さんは、「重要な局面で彼女たちが力を発揮できるように、私はできることをする。成長を見ることが一番うれしいし、そこにやりがいを感じる」と続けます。

笑顔の寺本衣里加さん

担当するアーティストの目標やプランを叶えるため、また目の前の人のベストを引き出すために、「自分はどこに力点を置けばいいか?」を考え、実行する日々。寺本さんはこれからも、手帳をめくりながら心地よい距離感でアーティストにエネルギーを注ぎ、力強く伴走していきます。

寺本衣里加さん
アーティストマネージャー&コンサルタント

都内広告代理店に勤務後、結婚を機に大阪へ。2014年より現職。広告代理店時代の知識と大学時代のアメフト部マネージャー経験を元に、ヘア&メイクアップアーティスト、フラワーアーティストなどのマネージメント・コンサルティングを担い、最大限の力を発揮するためのサポートを行う。
Instagram:@erica4306
長井かおりさん(ヘア&メイクアップアーティスト)Web : nagaikaori.com
前田有紀さん(フラワーアーティスト)Web : gui-flower.com