使い方 ブレストからラフ構成までアイデア用ノートをフル活用 鈴木由佳さん / ゼブラ株式会社 広報室1897年、日本で最初に純国産鋼ペン先を製造し、創業120年を超える筆記具メーカー、ゼブラ株式会社。国内外で広く愛されるペンを開発・販売するゼブラの広報室で働く鈴木由佳さんは、「ペンのよさを伝えたい」という情熱を持って日々、業務に取り組まれています。「社内でも"ノートは手書き派"が多い」という中、鈴木さん自身が「特に愛用している」というEDiTのアイデア用ノートの使い方をお伺いしました。 TEXT : ごとうあいこ PHOTO : 吉崎貴幸 SNSの投稿も手書きを意識 2019年で勤続11年目を迎える鈴木さんは、入社以来、一貫して「新商品の立ち上げ」を軸とした業務をおこなっています。 「以前は営業企画部にいて、営業支援をしていました。販売促進のプロモーションや新商品の立ち上げなど広告制作に近い業務です。常に売上を意識していたので、やりがいや達成感も一目でわかる数字で得られることが多かったように思います」 3年前に広報室に異動してからも、新商品の立ち上げに携わったり、商品の魅力を伝えるというベースの部分は変わらないという鈴木さん。変わった点は、SNSでの発信を担当するようになったこと。ユーザーの声を直接聞く機会が増え、「それまでは気づかなかった発見もたくさんある」そうです。 「『この商品はここがよかった』とか『これは欲しい』など、お客様の感想や反応がSNSを介してダイレクトに見えるので、投稿の内容を工夫するようになりました。新商品については、ニュースリリースに加え、SNSでも使い方のご案内が主ですが、“肉の日”とか“猫の日”などキーワードがある日は、それをソースにゼブラのペンで手書きしたネタを投稿しています」 時折、広報として参加している「文房具朝食会」で、自社商品をPR。文具好きのファンが定期的に集まり、情報交換をおこなうこの会は、ユーザーからアイデアを聞き出せる貴重な機会となっている 就業時間を3分割しTO DOを整理 さまざまな業務に追われ、仕事が終わらずに残業が続く日々をなんとかしようと、「時間の使い方を意識的に変えていった」という鈴木さん。まず見直したことは、手帳の使い方でした。 「毎日の予定をTO DO化して、リストを書き出すようにしました。さらに、午前9時〜午後5時半という限られた就業時間を午前、午後①、午後②と3つの時間帯で区切り、予定を振り分けたんです。すると、基本的に仕事は大きく分けて、1日に3つまでしかできないという自分の中のキャパシティがはっきりしました」 現在、鈴木さんの“仕事の3本柱”は、メディア対応、ニュースリリース作成、SNS投稿。その3つの作業を細分化し、優先順位の高い順に1日のスケジュールを組み立てています。そのように自分なりのルールを決めて仕事をし始めたら、週単位の見通しも立ち、仕事の進捗状況や時間の管理がしやすくなったそうです。 集中したいときには、広報室を離れ、ロビーのフリースペースを使うことも 「仕事がスムーズに終わると、自分がやりたいことや趣味に時間を使ったり、ゆっくり休めるのでうれしいですね。週末の予定も割とゆるく考えてはいますが、時間を意識するようにはなりました。『午前中が空くから、ここでジムに行っておこう』とか『この日はアクセサリーをつくろうかな』など、休みの日の予定もしっかり、手帳を開いて書くようになりましたね」 発想力を養いたいとアイデア用ノートを手に 細やかな手書きで整然と書かれた鈴木さんのアイデア用ノート。もともとノートにまとめることが得意だったのかと問うと、「基本的にはずぼらな方で、実は全然まとめられないほうだった」と照れ笑い。ノートを有効活用できるようになったのは、現在の上司の影響だと教えてくれました。 「広報室に異動して、上司がノートにメモをよく取り、きれいにまとめる様子を見たことが衝撃でした(笑)。それに、部署を移ってからアイデア出しをする機会がかなり増えて、発想や思考をまとめる作業も多くなっています。そこで私も、上司のノートの使い方に触発されて、まずはアイデアをまとめたり、考えたりするためのノートが欲しいと思ったんです」 発想力を養いたい、アイデアを出す力をつけたいという思いでノートを探し始め、EDiTのアイデア用ノートを手にしたのは、2016年。とっかかりとして、頭の中にあるものを全部ノートに出してみようと購入したそうです。 「まず、手に取ったときにすごくいいなと思いました。縦長のノートだと、きれいに整理して書かないといけないんじゃないかというプレッシャーがかかってしまうのですが、横長は自由に書いていい、発想が広がる安心感があります。EDiTのアイデア用ノートは、薄いドットのガイドラインに自由度を感じますね」 ページを上下に区切るマイルールも確立 使い続けるうちに、自分の中で書き方も固まっていき、鈴木さんは現在、3冊目となるアイデア用ノートを使用中。社内にもアイデア用ノートを使う後輩がいて、お互いにどんな使い方をしているか話すことも楽しい時間になっていると言います。 「私は、2つの目的でアイデア用ノートを使っています。1つ目は、頭の中にあるアイデアを全部出すプロセスに、2つ目は、出したものを整理するプロセスです。たとえば、ニュースリリースを作成するときに、紙面に盛り込みたい要素をバーッと書き出します。そこから、どんな切り口でアプローチできるか、数珠つなぎにアイデアを整理するんです。使用候補となる言葉は蛍光ペンでチェックを入れて、エリア分けをし、さらに考えを深めながらまとめていきます」 いずれの場合も、ノートの上部は、“要素”や“事実(ファクト)”を書き出すスペース、下部は“アイデアを練る”スペースにするのが、鈴木さん流の使い方です。 アイデア用ノートとも相性がよく、書き込む際に使っているゼブラ商品。上から、サラサセレクト、デルガード タイプ GR、ジャストフィット モジニライン、マイルドライナー プロセス1 : ニュースリリース制作のためのキーワード・方向性出し ① アイデアをまとめるテーマを記入 ② 商品の開発担当者など関係者からの聞き取りの内容(事実)を書き出す ③ ②の事実を踏まえて「どんなことができるか?」というアイデア(キーワード)を書き出していく ④ 最終的に使用するキーワード候補は蛍光ペンで印をつけ、自分の頭の中を整理する色として使用 ⑤ 商品撮影イメージをビジュアルに落とし込む プロセス2 : ニュースリリース制作のための草案まとめ ① プロセス1で“アイデア”から事実となる部分を書き出し、「なぜ?」で商品の魅力となるポイントや理由を並べる ② 見出し案候補やイメージの方向性をまとめる ③ レイアウト構成案をスケッチ 鈴木さんがアイデア用ノートを書くときに使う筆記具は「シャープペンシルと1〜2本の蛍光ペンのみ」と、とてもシンプル。手書きのノートをスキャンしてデジタル化する必要があるときは黒のジェルボールペンで書くそうですが、基本的にはシャープペンシル1本という潔さです。 「シャープペンシルだと、消しゴムで消せるので気楽です。なんだかんだ言って、ノートはキレイに残したいタイプなのでしょうね(笑)」 鈴木さんが感じる手書きの利点は「自分自身の考えていることがそのまま出せること」。鮮度が高い状態で、次々にアイデアをノートに散らばせ、同じノートにまとめていく。そのやり方に鈴木さん自身、手応えを感じています。 アイデア用ノートに落とし込んだ2つのプロセスを経てできあがったニュースリリース ビジュアルで描きより伝わりやすく 鈴木さんのアイデア用ノートには文字ばかりではなく、イラストなどビジュアルイメージも合わせて描かれているのが特徴的です。 「絵も描いたほうが、記憶に残りやすいですね。学生時代にもノートを取るときは地図やイラストをちょこちょこっと書き添えたりしていました。そうしないと覚えられなくて。今の仕事でも、商品の撮影依頼をするときなど、言葉でパッと説明しにくいときはイラストを描いてカメラマンに見せたりしています」 カメラマンへの撮影依頼内容が伝わりやすいように、1カットずつイラストに起こして ルールを決める書くことを楽しむ 基本的にはノート1本ですが、時々ふせんも活用しているという鈴木さん。速記するときや、ノートにまとめたものから要点だけを抽出して、関係者に渡すときに使う一方で、情報共有はデジタルツールも多用するそうです。デジタルとアナログの使い分けはどうされているのでしょうか? 「私の場合、デジタルツールは、主に人とアイデアや情報のシェアを目的に使っています。考えたことをまとめて最終的に人に伝えるには、デジタルを介して送ることが多いですね。何かを『思いついてすぐに書きたい』とか、『忘れないようにしなきゃ』ということをサッと書くのはアナログツールなので、紙と筆記具は欠かせません」 ふせんを使うと、人にメモを渡すだけでなく、ページを移動させることもできるので便利 目的に合わせてルールを決め、迷いなくノートを使いこなす鈴木さん。今年から手帳を自作のバレットジャーナルにするなど、書くことを心から楽しんでいる様子がとてもまぶしく感じられました。 Profile 鈴木由佳さん Yuka Suzukiゼブラ株式会社 広報室 ゼブラ株式会社の営業企画部を経て、2016年より広報室にて主に新商品のPR業務を行っている。会社の公式SNSの運営も担当し、筆記具の魅力を発信。趣味としても手帳を書いたり、アクセサリーをつくったりするなど、手を動かすことが好き(2019年5月現在)ゼブラ株式会社 : zebra.co.jp EDiTの読みもの 一覧へ EDiTブランドTOP